PCが起動したあと、外部からのメールや社内メールをチェックをし始めた。
カチカチと小気味良いマウスのクリック音が、仕事のボルテージを上げるのに・・・
「おーい、優しい兄貴をシカトするのか?」
その上昇気流をピタリと止めようとする人が、まさに直属の上司であって。
本当に飽き足らないというか…、松岡さんはこんな時に困り者へ打って変わる。
「・・・・・」
それでも私は名前を呼ばれていない事をコレ幸いと、素知らぬ顔をし続けていた…。
「あーあ、ホントに妹は薄情だなぁ…。
黒岩さんが帰ってから、俺をシカトする回数が増えてるよ」
回転チェアにその身を預けて、うーんと伸びの姿勢を取っている松岡さん。
「っ・・・」
彼のフレーズを出されると弱い事を、知った上での発言だから始末が悪い――
だけど相手にすれば、その分だけ自供への道筋を立ててしまう事になるから。
自爆しない為にも、いつも通りに知らん振りが一番なのよね…。
「よく“寝て”ご機嫌ならさぁ、俺の事も構ってよ?
昨日はウチのお姉様に虐げられて、相当お疲れなのにさー」
すると先程の体勢から立ち上がった松岡さんは、私の隣席のチェアに腰を下ろした。

