その憂いを帯びた瞳が、ジョシュアから時おり向けられた無機質な眼差しの答えだろう。
よくよく見れば、碧眼の目元や表情がどことなくジョシュアに似ていることにも気づく。
「リヒトなら大丈夫だと思って、ジョシュの入社当時からずっと預けておいたんだがね。
その時にちょうど来ていたシュウに対して、愚息のプライドが傷ついたらしい」
「…プライド、ですか?」
「机上の空論だけでは経験に劣る、と早々に気づいたせいだろうな」
「修ちゃんがコッチで開発した製品、知ってるでしょ?」
CEOに補足するように教えてくれたのはチーフ。それで今までの態度に合点がいった。
「え?はい。…当社の15年後を拓いてくれたと、当時の伊藤部長は仰いましたが、」
本社から出回ったその偉業は、修平を取締役の任に就かせる最も大きな理由だったとか。
「そうそう。コッチが引き留めてんのに、伊藤さんが修ちゃんを拉致ったんだよねぇ」
「ら、拉致…」
「大神の話は半分誇張してるだけだよ」
「修ちゃんが寡黙すぎるから、優しい俺が広めてやってるだーけ」
「そう言って、“修ちゃんはゲイ”なんてデマを広めたのは誰だ?」
「えー、真帆ちゃんの為じゃん。ねえ?」
それはチーフに同意を求められても、とても頷けるものではない。とりあえず苦笑の私。
ジェンがこの2人がよく言い合っていたというけれど、ようやく事実だと分かって来た。
「まあ、修ちゃんのゲイ説は放っておいて。
ジョシュちゃんがひとりでずーっと頑張ってたのに、ものの1年で完成させちゃったからさあ大変。
修ちゃんが帰国してからもね?修ちゃんの話が出るだけで荒れるわ、開発製品にもいちゃもんつけるわで大変だったのよー。ねえリューク?」
「――だから初めから、リヒトに任せていたんだ」
「うーわ、リュークもホントに人が悪いよねー。
ジョシュちゃんのせいで俺たちずーっと、ひどい目に遭わされて来たんだよ?」
「…愚息で申し訳ない、」
苦虫を潰したような表情をみせるCEOの肩に腕を回すと、ニヤニヤ楽しそうなチーフ。

