ジェンの腰をグッと引き寄せたチーフが何と、彼女の唇をあっさり奪ってしまったのだ。
騒がしい所でも妙に響くリップノイズとともに、周囲を囲むメンバーがまた囃し立てる。
ぴゅーっと甲高い口笛の音や“サイコー”などの声が、また彼らをヒートアップさせた。
キスの度合いがさらに増して、互いの舌を絡め始めた2人の姿には呆然とするしかない。
「…またか、」
「…へっ?」
そう吐き出したあと、小さく舌をチッと鳴らしたのは修平。それで正気を取り戻した私。
何時の間にか腰には修平の手が添えられており、“あの2人流の仲直りの印”と言う彼。
それは仲睦まじいと思うけど、アレをどこでも構わずする彼らにいつも困っていたとも。
確かにと同意して一度頷いた私の顔を見て来るダークグレイの瞳は、やはり困惑の色だ。
「やだ、主役が何ボーっとしてるのよ」
「はい?」
その声に引き戻されると、目が合ったジェンは唇が腫れているうえリップも取れていた。
キス後の色っぽい表情のままほくそ笑む彼女は、この場のエロス女王の称号に相応しい。
ふつふつとギャグテイストに考えていると今度は、くつくつと笑う声の方へ視線を移す。
「真帆ちゃん、ハイじゃなくて――パーティの“主役”がもっと盛り立ててよ。
俺らのチューなんてあくまで前座なの。OK?」
「…、」
チーフの唇を拭いながらの発言に盛り上がったのはもちろん、私と修平以外の人である。
あのエロスな濃厚キスの後で?いやいや、そういう問題ではないと脳内プチパニックだ。
先ほど以上に盛り立てるメンバーに苦笑を浮かべながら、彼の方をチラリと窺い見れば。
さすがに呆れた色を見せている。と、腰に置かれていた手に力がこもって向き直された。

