毎日クタクタでこのドアを開く度、寂しさに襲われていたけど。
「ただいまぁ」
「フッ…、お帰り」
「今日もお疲れさまでした…、お帰りなさい」
彼の帰国でこのやり取りが出来る今は、もの凄く心が満たされていると思う…。
何時だって猪突猛進な私を、一旦引き止めてくれるのも。
上手くいかない案件に疲れ果てて、思わず挫けそうになる時も。
優しい笑顔とアドバイスで、後ろから背中をそっと押してくれるから。
貴方が守り抜いてくれた、この仕事に誇りを持って頑張れるの・・・
「はぁー、美味しかった!」
八丁味噌を使った味噌煮込みうどんを完食し、ホッと一息ついた私。
急いで作った割には、やっぱりアノお味噌のお陰で上手く出来たけど。
彼の慣れ親しんで来た名古屋メシを、マスターしたいと思うこの頃だ…。
そうしたら、もっと食事タイムが楽しくなるもの・・・
「やっぱり、食いしん坊の真帆じゃないとな…。
美味しかったよ、ご馳走さま――」
陶器の箸置きにコトリと、箸を置いた彼が両手を合わせつつこちらを見た。

