大神チーフとジェンとの間隔を保ちながら、修平と腕を組んでガレージから邸宅へ進む。



どんなお店だろう、と期待に胸を膨らませて歩いて行くと、ふと前方の2人が止まった。



普通ならばガレージを抜けて到達するのは正面玄関なのに、現在地はやけに薄暗い道だ。


「ココね、裏口から入るのが決まりなの」


「…はぁ、」


チーフが振り向きざまに言ったセリフに、彼よりも早く腑抜けた言葉と表情で返した私。



余程おかしかったのだろう。“悪いようにしないって”と、加えながら笑う前方の2人。



これほど立派な邸宅ならまず、門番なりセキュリティが作動する筈。でも、それもない。



よくよく考えれてみればみるほど、疑問が取り巻いてしまう。それもこの光景のせい…?



薄暗くも仄かにライトアップされた芝生道。その中へ突き進み出した彼らについて行く。



期待多勢、不安はほんの僅かといった心境から、組んでいた修平の腕をさらに強く握る。



それを察したのだろう。スタイルを崩さないように気遣った彼の手が、髪を撫でていた。



これもまたストレート・ヘアが好きな理由――とは、修平にはとうにバレているらしい。



青々とした芝生を踏みしめ進むと、チーフが裏口と言った割りに立派な入口に到達する。


「大神、どうした?」

「修ちゃんたちで開けてよ。ココ初めてじゃん」

「…何を企んでるんだ?」


「ひどいな修ちゃーん。俺そんなに性格悪くないのに」

「ああ、“さほど”悪くない」


「マホもぼんやりしないの」

「…ジェン、本当にどういうこと?」


“ほらほら”と言う彼らに圧されて、洋風なホワイト色のドアノブへ2人で手を掛ける。



一体どういう店かという、拭えない猜疑心から顔を見合った私たちもついに意を決した。