エリートな貴方との軌跡



そんな私を抱き留める力を少し込めてから、またゆっくり歩き始めた修平。



ご近所さんの目より、彼の胸の中の温かさにすっかり絆されているから。



トク、トク…と、一定の鼓動と穏やかな揺れがすごく心地良くて。



目を瞑ってしまえば眠りにつけそうなほど、ホッと安らいでいく…。




「ねぇ、今日は何食べたい?」


「えー、そうだな・・・

寒いし、味噌煮込みうどんとか?」


「うん、決まりね!」


彼のリクエストに嬉しくなって、胸の中からヒョッコリ顔を覘かれば。



「ありがとう」


そんな私を見下げつつ、フッと笑っている彼に申し訳なくなるけど。



疲れてる私を気遣って、敢えて楽なメニューを選んだでしょ…?




「…急いで作るから、早く食べて寝ようね…?」


意味にすぐ気づかれるのが関の山だから、伏目がちに伝えたのに。



「おっ…、積極的じゃん」


「っ、いいの――!」


忙しいのは笑っている修平なのに…、いつも余裕で私を受け入れてくれるから。



大好きなその手を広げられれば、もう寄り添わずにはいられないよ…。




ようやく到着した自宅の前で下ろして貰うと、その扉をガチャリと開いた・・・