エリートと呼ばれるデキる部長の彼も、プライベートのイジワルな修平も。
どっちも好きで仕方無い事がバレてるから、もう手に負えないのに。
そんな弱点を上手く使い分けられると、貴方への気持ちが止まらない・・・
部屋へと向かい歩いて行く彼の靴音だけが、静かな辺りに響いているから。
ご近所さんに出くわさないか…、ソレがチラチラと不安を過ぎっていると…。
「ところで…、痩せたんじゃないか?
何か軽くなった気がするけど…」
「えー、そうかなぁ・・・
そんなに変わらないと思うよ?」
不意に尋ねられて首を捻ると、近距離にある整った彼の顔がさらに近づいた。
「絶対に痩せた・・・
…真帆、昼メシちゃんと食べてたか?」
「う゛…、最近…休憩時間が取れなくて、お菓子だけ…」
確信めいて聞かれれば隠しようが無くて、ハハ…と苦笑する私。
「忙しいのは分かるけど、頼むから食事は取ってくれ…。
もし真帆が倒れたら仕事も滞るし、周りに迷惑が掛かるだろう?」
「うん…、ごめんなさい…」
ダークグレイの瞳を少しだけ伏せた修平に、優しい口調で諭されてしまう。
「フッ…、頑張り屋の真帆ちゃんは心配が尽きないな――
取り敢えず、急いで食事にしよう…」
項垂れる私を茶化すように笑った彼に、コクンと頷いて凭れ掛かった…。

