「――お待たせいたしました」
その声とともに現れた店員さんが数点のドレスを手にして、再び私たちのもとへ現れた。
「いかがでしょう?」と加える彼女に、デザイン性に富んだそれらには溜め息が漏れる。
オーガンジーやシルク素材に華やかさを添えるビジューがあしらわれた素敵な品ばかり。
「どれが気に入った?」
「…あれ、が良いな」
「OK」
傍らでクスリと笑った修平の声で指さす。それはドレープ・カウルのスカートが美しく。
シルク素材が艶やかな印象を与え、ウエスト部のブラック・バンドがアクセントになる。
デザインはシンプルなようでいて凝っており、ホワイト・ベージュも一目で気に入った。
何より店員さんが提示した他の品よりも露出が控えめで、日本人の私でも合いそうだ…。
「では、どうぞ」
「行って来るね」
彼女の案内で店奥のフィッティング・ルームへ行けば、さっそく試着することになった。
本来は手伝うという店員さんたちの申し出を受けるべきでも、簡単に脱着出来るもので。
それをやんわり断りを入れたところ、“では試着後お声掛け下さい”とドアが閉まった。
まず着ていたスーツを脱ぎ終え、ランジェリー姿でサッと素早くドレスを着用してみる。
しかし、そこは海外サイズ。割と胸元が開いているなとは思ったけれど、やはり可愛い。
丈や幅は合うから、これで大丈夫か…。何よりスルリと肌を撫でるかのような着心地で。
このシンプル可愛いデザインも、実際に着てみたらますますその虜にされた気分だもの。
最後に全身鏡の前でクルリと360度ターンし、不都合はないかチェックして退出する。

