サンプル品を食い入るように見られると、そんな気が薄れていくけれど…。
「…大神チーフからの要求には、クリアしたと思いますが…」
シンと静まり返る空間に耐え切れず、ついつい答えを求めてしまう私。
本社関連の依頼品には、どこか躍起になってしまうのは悪いクセかも…。
「あぁ、これなら問題無いだろう。
成分表も併せて提示するから、あとで用意を頼むよ」
「はい、ありがとうございます!」
「今回もお疲れ様」
こちらを捉えながら一笑されて、ホッと安堵してしまった。
試作品製作の部署へ異動してから、もう4年が経っている・・・
その間に部内で必要となるマニアックな検定を受けて、様々な資格が増えて。
さらに上司に勧められて受けた昇級試験に、運良くパスしてしまった。
私で良いのかと思いながらも、頂いた係長職の名に恥じる事はしたくない。
この仕事をしているという事が、密かな誇りとなっているから…。