異性を呼び捨てする事が恥ずかしいなんて、今まで感じた事も無かったのに。
初めて自分から好きになった貴方だけは、なぜか違っていたの・・・
それはきっと仕事への姿勢、そして尊敬出来る人柄ゆえだったのかもしれない…。
「気持ちだけは絶対、私の方が勝ってるもん!」
「フッ…、それなら急いで帰らないと――」
「ッ、もぉー…」
イジワルさにドキりとさせられたり、私だけに向けてくれる笑顔を見る度に。
黒岩 修平という人に巡り会えて、本当に良かったと際限なく思ってしまう。
どうしようもないくらい…、伝えきれないくらいに、大好きなの…――
楽しくもあり、スリリングな帰宅時間を終えると、ようやくマンションへと到着した。
駐車場に停車させても彼は、絶対に助手席のドアを自ら開けさせてはくれない。
「どうぞ、真帆ちゃん?」
ガチャリとドアを開けたあとで、スッと大きな手を差し出してくれるから。
「…ありがとう」
彼の手を取った私は、そのまま腕へとギューと回して縋ってしまう。
中身までジェントルマンなところに、いつでもドキドキさせられながら…。

