はぁ、と溜め息を吐き出すのも失礼だけれど、これはもう不可抗力だと言わせて欲しい。
何年付き合っても掴めないどころか、見えて来ないその本質が時おり羨ましく思うもの。
「だから、ログインがメンドイんだって。
俺のフォロワーは真帆ちゃんオンリーで良いしー」
「松岡さんの相手は疲れます。フォローする身にもなって下さいね?」
「えー、可愛い妹もついに反抗期に突入ですか」
「反抗期を通り越えて、折り返し地点に入ってますもん」
ああ言えばこう言う、スマイルキラーとの会話で口を尖らせるのはもはや日常茶飯事だ。
パートナーの絵美さん曰く、“放置するか冷たくシカッティングするのが一番”らしい。
「あーあ…日ごとに、天然エロどころか口達者にまでなっちゃって――
間違いなく、エロい修ちゃんのせいだねぇ」
「ちょっ、何言って…!」
「フッ、真帆ちゃんテンパりすぎぃ――修ちゃんのコト、思いきり肯定してるしー」
その彼女といえば彼氏を鋭く睨みつけ、むしろ無いものとしていると伺っていたけれど。
ルックキラーにはなれない私がソレを忠実に行った結果は、さらなる悲劇を生んだのみ。
仮にも取締役である修平のことを、社内でラフに呼べるのも彼ら2人のみとも思うわ…。
「もー、私のことは良いんです!」
「だってー、妹が不在で寂しいんだもん。
ていうか岩田じゃ張り合いゼロ。早く戻って来てよー」
「…ふふっ、早く帰れるように頑張ります。
そこで松岡さんに、折り入ってお願いがあります」
どうやら岩田くんは日本で更なる害を被っているようだけれど、本当は分かっているの。
「はいはい?」
シカゴから電話を掛けた私の声色を察し、敢えてリラックスムードを作ってくれたこと。