口数が決して多い人ではないけれど、何時でもどんな状態の私も受け入れてくれたから。
今まで軽い気持ちで人を傷つけて来た自身を悔いて、人にもっと優しくなれたと思うの。
理由を考えるよりも早く、修平と出会わなければ今の私は無かったと断言できるから…。
「…ねえ、この薬品は勝手に化合出来ないものだと思うけど…。
これは事前に、大神チーフから指示か許可を受けてのことなの?」
妙な宣戦布告を受けてから、さすがにジョシュアに近づきたくないと思っているものの。
お仕事へ私情や泣きごとなどを挟めるほど、掛けられた責務を投げ打てないのが大人だ。
「え?もちろんリヒトに許可なんか取らないけど。
すぐに熱処理掛けるし、このアクションは化合半導体の明日を切り開いているよね?」
「ええ、危険物でしょう!?」
しかし…白衣に身を包んでいる私とジョシュアには距離があって、警戒心も表れていた。
出張3日目は朝から問題児かつ優秀な彼の、単独で勝手すぎるスタイルに呆れるばかり。
支社では絶対に申請書と上司の許可が無ければ扱えない、劇薬を平然と化合するからだ。
「ん?そんなの常識だって。
危険物だから、マホは研究材料に使うなって言いたいワケ?」
「ううん、違うわ。ただ…」
「その続きが無いなら、まだ俺のコトは止められないね。
フツーに捉われるの、リヒトが嫌いなの知ってるでしょ?俺もソレには加担してるし」
「…でも、」
「許可云々とか、いくらマホでも聞かないよ――それってアイツの請け売りだし」
その一言は悔しいと思うけれど…、試作開発における今後を考えればトライは悪くない。
白衣姿でそう笑ったジョシュアは、やはりチーフの仰るように簡単には改めないだろう。

