一緒に居るから分かる――修平が無言に終始する時は、密かな怒りを堪えているのだと。
ダークグレイの瞳が映して感じるものは、いったい何なのかが気になり不安にもなる。
背の高い彼らを見守っていたけれど、この状況すら愉快そうに頬を緩めたジョシュア。
「ジョシュア、いい加減にしてくれる?
私は物でもなければ、仕事外でアナタに関わる気もサラサラないわ!」
「ハハッ、マホって変に真面目で面白いよね」
「ふ、ふざけないで!」
これ以上は我慢ならないと、忌々しい感情を込めてハッキリとノーを突きつけたものの。
先ほどの会議通り大神チーフ以上の強硬さで、自身に都合良く解釈するから困りものだ。
「だからマホはそうやって、くっついていないと不安なんでしょ?
今後の俺の行動次第で、気持ちが変わるって容易に結論づけられるけど」
「っ、ちがう!」
「違う?その根拠と自信は?」
直ぐ怒りの籠った反論をしたものの、研究者らしく“カタチ”を求めて来るジョシュア。
確かに今は修平の手を取っているけれど、私たちはこんな横槍には屈しない自信がある。
修平が此処で研究と向き合った2年の間、互いが先を思う感情だけが頼りだったもの――
「――これが、何よりの答えだ」
掴んでいたままだった彼の手を離そうとした刹那、その大きな手はキュッと力を込めた。
この温かさに触れるだけで、2年間の寂しさが吹っ飛んでしまうから泣きそうになる…。
「へえ、見せかけだね」
「ああ――君がそう思うなら、それだけの事だ」
それまで沈黙を貫いていた修平がフッと小さく笑い、冷たい声色をジョシュアへ向ける。

