エリートな貴方との軌跡



どうやらソレはジョシュアも同じだったのか、一瞬の隙をついて肘鉄をお見舞いした。



小さな呻き声とともに外れた腕に安堵して振り返れば、苦笑いといった面持ちの修平。



ダークグレイの眼差しに落胆の色は見えないものの、同僚として頂けない態度だったし。



正当防衛とはいえ、明らかに暴力的に映ったよね?と、今さら我に返ろうが遅いよね…。



「マホって、そーいう奔放さも魅力的だね」


「――何が言いたい?」


居た堪れない私の様相を楽しそうに笑ったのは、既に肘鉄から復活していたジョシュア。



続きを促す修平の声色は何時になく低さを纏い、不安を覚え彼の腕へ縋りついてしまう。



明らかなる敵対心を向けられても、何時でもサラリと笑顔でかわす彼らしからぬ表情に。



何となくソレらが修平の過去の琴線に触れた気がして、ただ心配で堪らなかったから…。




「正直言って、マホが抱きたいんだよねぇ。

今みたいな喚く声じゃなく、セックスの時の啼き声が聞いてみたい」


「…いい加減にしろ」


「へえー…、それだけ?」


「それならジョシュア、此処は何をする場所だ?」


「だって、朝の真帆のキスマーク見せたのはダレ?

つーか、まだ結婚してないんだし――別にセックスくらい良いでしょ」


「はぁああああ!?」


傍らで修平が眉根を顰めていたとも知らず、非常識すぎる発言に憤慨と発狂ばかりの私。



「ねえ、マホみたいな女初めてなんだよね。

アンタなら別に、幾らでも他で見つかるでしょ?

あ、ちなみに一回じゃなくて真剣だよ――今はアンタのマホ、俺にくれない?」


しいては全てを嘲笑うようなジョシュアにより、さらに周囲を耐え難い緊張感が包んだ。