エリートな貴方との軌跡



会う前と比べれば優しい人だと思えるようになっているけれど、やはり分からない。



こうして修平の話題を出されると困る私には、とてもチーフの性格が掴めないだろう。



正方形のテーブルに向かい合った形で座っていると、ふとコトンとカップを置いた彼。



ニコニコしていた表情からは笑顔が失せ、真っ直ぐ捉えてくるからビクリとしてしまう。



「この2日でジョシュアの性格、どう感じた?」


ジョシュアの件で此処へ来たため、当然ソチラへ話が及ぶと予想はしていたけれども。



「…あの、正直に申し上げても宜しいでしょうか?」


「もちろん。ソレが聞きたい」


「試作部において、何だかとても異質に感じました」


「それは、どういう風に?」


先ほどとは違った機械的な微笑が、“遠慮なくどうぞ”を助長するものだと伝わって。



此処で引くほど場数は踏んでイナイ。そして言わなければいけない時だって判るから。



「先ほどの会議において、誰もが口を噤んでしまうほどに相手を責め立てていました。

あの様子から察するに、今日だけではないと思うほどに辛辣な態度に映りましたし。

誰もがジョシュアを避けているようで…、部署の方との大きな隔たりを感じました」


「へー…、修ちゃんの言うとおりだねぇ」


「…い、いえ、すみません。

よく知りもしない立場で、さしでがましいことばかり…」


自分なりに感じたことを遠慮なくハッキリ伝えてから、今さらな非礼に走るとは遅い。



「いや。聞いたのは俺だから、それは構わないけど。

だからこそ、真帆ちゃんにアイツを指導して貰いたい――出来るね?」


その失礼さをアッサリ制したチーフは、悠然とした笑顔に変えてそうプラスして来た。



残りたった数日で課せられた難題と疑問は、果たして帰国までに解けるのだろうか…?