朝のヘラヘラとした面立ちと違い、エリート揃いの面々が言葉に詰まる問いかけをする。
その回転速度と様子は、修平や大神チーフと何処か被るトコロがあるのも事実なのだ。
今プロジェクターに映し出されているのは、ある社員が計算式と理論に則り出した予測。
日本支社では高度な案件だけれど、人員と日数があれば出来るだろう案件だと感じるが。
担当社員が報告し終えた瞬間、今日いちばんの不快感を露わにしたジョシュアの表情。
確かに説明では納得出来ない部分があるけれど、会議室全体の空気が一層悪くなった…。
「この角度でやれば、間違いなくミクロン以上の単位で失敗すると思うけど」
「俺はオマエより経験して…」
「――経験が物を言う場じゃないよ、ココは。
世界中から集まった“シンクタンク”なのに、経験ばかり誇示するワケ?」
口答えする社員への態度に、鋭い眼差しを向けるから明らかに周りが委縮しているのだ。
先ほどからジョシュアに喰って掛かっていた社員は、悔しそうに座り込んでしまった。
誰もが助言や進言をさせない雰囲気に、どうやらジョシュアは相当な賢者なのだろう…。
会を一方的に締めてしまった彼が去った部屋では、ジョシュアへの暴言が横行している。
リリィに促されて部屋をあとにした所、ドア付近で壁へ背を凭れていたチーフを捉えた。
「――真帆ちゃん、さっきの意味が分かった?」
今はレイバンのサングラスを外していて、その表情は些か手に負えないといった処だ…。
※本頁の“シンクタンク”ですが、日本でのシンクタンクとは意味が異なります。
本編の場合、本社内の“頭脳集団”である事を差しております。

