エリートな貴方との軌跡



足早に立ち去った2人とは別行動で、今日は試作部内で助手と会議に参加する予定。



まだ何も分からないまま一日目が終了したため、今日もまた手探り状態になるだろう…。



「おはようございます!」


「ああ、おはようマホ」


「名前、覚えて…」


挨拶をして進んで行けば、返す声に紛れて呼ばれた名前が嬉しくて思わず尋ねていた私。



「だって、昨日ド派手にキメてくれたし」


「え…!違うのに」


「あのシュウが惚れただけあるよ」


「ち、違うわ…」


「ヤダ、照れてるー」


エリート揃いの本社という言葉でひとり緊張しては、勝手な偏見を抱いて身構えていた。



だけれど昨夜すっかり仲良くなれたリリィのように、此処もまた職場のひとつであり。



厳しい環境下に置いていればなお、どれだけ余裕が持てるかが重要となってくるから。



今日こそは笑顔で張りきろうと、周りのムードを受け自然と笑えるようになっていた。



だけれど、この久しぶりに感じられたフレッシュな感覚は何時までも忘れたくはない。




「おっ、何やら賑やかだねぇ」


「あ、チーフ、お早うございます」


暫し談笑していた所へ、ラフなポロスタイルで現れた大神チーフを捉えて一礼をすれば。



「さて…、いよいよ本領発揮してくれる?」


口元を緩めて笑うレイバンのサングラスの奥の瞳が、その言葉の本気度を窺わせる…。