エリートな貴方との軌跡



その温かくて時おり激情を伴う温度は、私の理性をサッと奪ってしまうのだから。



一度は手放した彼のシャツにキュッと掴まって、息も絶え絶えにキスを続けるばかりだ。



「んっ、ふ、はぁ…、ンンッ」


「…まだ欲しい?」


チュッとリップ音を立て、一瞬だけ離れた修平の唇の先が向かったのは私の耳元で。



その瑞々しい音とともに響くセクシーな声色が、ゾクリと全身を粟立ててしまうから。



「ッ…、う、ンンッ――」


“うん”を言えないままに再び塞がれた唇は、彼からのキスを待ち焦がれていたようだ。



ツーと口元を濡らす唾液とキスの激しさは、すべての思考を失わせる怖さがあるけれど。



ソレを抗う理由なんて見当たらないし。本当は、お仕置きがもっと欲しくて仕方ないの。



普段は至って冷静な彼が、こうして私だけに見せてくれる色香は修平バカを証明するし。



彼を思う分だけ、生まれる不安は安心に。触れれば触れるほど愛情へと変わるから。



この気持ちを再確認させて貰えた、今の私ならもう怖いモノ無しだと思っていたの…。




そして夜が明けて直ぐ、少しの睡眠のみで修平がホテルを先に出て行ったのを見送り。



“倒れられる方が困る”と言われて、仕方なく前日と同じ時間で準備をして外へ行けば。



「あ、マホー!」


「…ちょっ、何なのよ!?」


呼ばれたと同時に、大好きな修平の香りとはまったく違うジョシュアに抱きつかれて。



「昨日はゴメンねって、言いに来たんだよ」


そう言って謝罪をするクセに、なおも離さない男のせいで前途多難な一日の予感ね…。