仕事面においてはシビアながら、私の未来を優先する優しさを併せ持っていて。
でもプライベートでは甘えさせてくれて、それでいて少しだけイジワルな人。
私だけに見せてくれるギャップが、堪らなく愛しさを増していくの・・・
「ところでさ・・・
いつになれば、“さん”付けじゃなくなるんだ?」
「えっ…、まだムリ…」
修平さんの運転で帰宅中の車内で、突然に不機嫌な口調で尋ねられて。
ギクリとしつつも、どうしても呼べない私はうろたえながら返す。
「結婚まで、あと2ヶ月切ったし・・・
いい加減に呼んで欲しいけどなぁ、真帆ちゃん…?」
「…そのうちね?」
すると此処でもイジワルモードに切り替わった彼に、曖昧な返答で苦笑した。
「あーあ、天然子悪魔は手が掛かるなー。
ベッドの中では、あんなに呼ぶクセに…」
「なっ、そんな事、言わないでよー!」
妙に今日は喰いついてくる彼を見れば、暗がりの車内でバッチリ視線が重なった。
「ホントの事だろ…、違う?
これでも、研究者の端くれとして“ウソは”つかないし――」
「ッ…、ズルい――!」
滑らかな走行をしながら、フッと弧を描いて笑う彼にまたドキリとさせられる…。

