いつの間に――と尋ねたくなる衝動を抑え振り返れば、淡々とした修平が其処には居て。



コチラを一瞥したのも束の間、スッとその矛先が変わったのは頭上高いジョシュアだ。



さらには修平の隣に立つ大神チーフといえば、やれやれと呆れた面持ちにも見える…。



「あれ?余裕ないんだ。ハハ、意外かも」


「ちょっと失礼よ!どういう意味!?」


「あーあ、レディにフォローされて恥ずかしくない?」


「いい加減に…」


嘲笑したジョシュアの明らかに小馬鹿にした声色に、私の怒りも沸点に達したその時。



「悪いが、彼女の良さを潰しかねないキミに言う事は無いな」


「っ・・・」


不意にグッと腕を掴まれると、そのまま先ほどと同様に前方へと傾れ込む事になった。



ふわりと掠める爽やかな香りと驚きとが混ざり合いつつも、体勢を立て直そうとすれば。



「格好イイこと言ってるけど。エドワードの時にヘルプすべきだったんじゃないの?

あん時のマホの悲しそうな顔…、“仕事中毒”なアンタは見てなかったよね」


「っ、ちが…」


確かにエドワード氏の言葉にショックを受けたけれど、認めざるを得なかったのに。



「マホ一人で、偏屈オヤジの相手が出来ると思ったワケ?」


イラ立ちを募らせているらしいジョシュアの発言が、そんな私の心をグサリと突いた。



彼の言葉が悔しいと思うのは、第三者にも伝わっていたという不甲斐ない事実からだ…。




「――言わせて貰うが…キミの発言が彼女を傷つける、とは思わないのか?」


流石にぐうの音も出ず俯いていれば、大きな手が優しく頭をポンポンと撫でてくれた。