その何てコトの無い仕草さえ、いい加減に慣れて来た私もドキリとしてしまうのだから。
「…さっき、大丈夫だったか?」
「え、ええ――あれくらい問題ありません」
周りで修平に熱い眼差しを向ける女性からすれば…、と思うと嫉妬心も生まれてしまう。
などとほんの少し悔しく感じつつも、ソレほど素敵すぎる彼と結婚出来る私は幸せ者だ。
修平がハッキリと行ってくれた“婚約者”宣言に、ジョシュアの事など葬り去れる…。
大丈夫かと心配される必要は無いと、クールなダークグレイの瞳へ微笑み返したところ。
「“あれくらい”なんて余裕だね?」
いつも通りに、彼もまた淡々と頷いてくれると踏んでいた考えは見事に覆されてしまう。
「えっ?ち、違います!ご心配は無用ですので…!」
「フッ…そう言う時は一番、心配だけど」
ブンブンと大きく頭を振った私に対し、やれやれ…といった面持ちで一笑にふす修平。
「こ、子供じゃありません…」
「確かにね」
不謹慎だけれど、こういう時にみせる彼の柔らかい表情に幸せだと感じてしまう私。
どうしようもないくらい、修平バカは猛スピードで日々加速しているみたいだ――
「お2人さん、そろそろ再開しても良い?」
すると前方から、待ちくたびれた!と呆れた物言いで此方をジーっと捉えるチーフ。
「ああ、勿論だ――
大神…、俺も同じく今回の案件には装置の改修が望ましいと思う」
「そうだろ?“ソレ”が出来る人に託すわ」
チーフに頷いて試作段階の型の調整を始める姿に、一気に私も臨戦態勢に入った…。