この空間へ足を踏み入れるごとに生まれる、新たな疑問符が脳内を取り巻くほどに。
不安と緊張感がせめぎ合っているようで、早く修平が来てくれないかと不安になる…。
「まっ、バカは放っておいて行こうか」
「え…、はい?」
日本語に切り替えて話し掛けて来た大神チーフに、圧倒されながらもひとつ頷く私。
凄いトコロへやって来たのだと思わされるから、平常心で居る為の笑顔が欠かせない。
初日から此処で悪態をついてしまえば、それこそ修平にも角が立ってしまうもの――
「ナニ2人で話してんですか」
「さぁねー?」
ジョシュアはソレが気に入らなかったのか、勇敢にも大神チーフへ冷視線を向けると。
「マホ、教えてよ?」
「っ、え…、大したコトじゃ無いよ」
「ヤダ、マホ教えて…?」
私の元へやって来た瞬間、サラリと髪をヒト掬いして碧眼でお願いして来る始末だ。
この何かを熱く訴えるような眼差しが苦手だ…、本当は手を払いのけてしまいたい。
「オマエさ、そろそろ止めといた方が良いって」
「何で?」
「だからぁ、」
すると大神チーフが横槍を差すように、彼の意識を削いでくれて髪から手が離れた。
「――何してるんだ?」
「・・・っ」
密かにホッとしたのも束の間、爽やかな声色が背後から届きドキリと鼓動が高ぶる…。

