エリートな貴方との軌跡



松岡さんに手を振られて見送られながら、お先に退社させて貰った私たち。



修平さんの車が停めてある駐車場へと、二人並んでロビーを歩いて行く最中。




いつもよりも早い帰宅のせいか、バッティングした他部署の人の視線がイタイ・・・



これはもちろん、私の隣を歩く人の放つオーラのせいだ…。




本社から帰国した彼は、同時に日本支社の取締役に就任して今に至るけど。



史上最年少での取締役就任の重圧も押し退けて、淡々と仕事をこなしている。




長身のスタイルでスーツを着こなし、ブラウンの髪にダークグレイの瞳。



そしてエリートと囃される彼に、確たる肩書きがプラスされては。



他の女性社員の視線を集めていても、致し方の無い事だから・・・





「どうした?」


「…いえ、部長への視線がですね…」


どうやら難しい顔をしていたのか、修平さんから歩を止める事無く尋ねられて。



未だ社内を抜けていない状況に、言葉遣いは仕事モードのままで曖昧に返す私。