するとレイバンのサングラスを外し、苦手意識を持った眼差しを向けて来る大神さん。
運転席からヒラヒラ手を振り、“また明日ね”とだけ言ってサラッと去ってしまう。
「ねえ、アパート…」
「ほら行こう」
「…はーい」
「フッ・・・」
クエスチョンマークばかりが浮かぶ中、颯爽と歩く修平のあとをついて行くしか無い。
何時でも軽く一笑して流される度、ソレにまでドキリとするとは言えないけれど。
上背があるからか、大柄の人々に混じっても人目を引くように思うのは気のせい…?
“ねぇ、あの人…”
するとチェックイン手続きをする修平の傍らで、ふと耳に入って来た会話に納得した。
黒髪にダークグレイの瞳がエキゾチック、などと言われれば間違いなく彼のコト。
イギリス英語と違うと言っても、感情を逆なでする会話はシャットアウトしたいわ。
隣というより、すぐ傍にいる私は“お子様”扱いなんて…失礼すぎるでしょう――
「どうした?」
「…べ、べつにっ!?」
いつの間にか終えていた修平に覗き込まれて、明らかに動揺しながら頭を振れば。
「真帆は、誰よりも綺麗だ」
「ま、また言う…っ!」
単純さもお見通しな彼に、そっと日本語で囁かれるほど心安らぐモノは無いようだ…。

