きっと怖いというより…、これほど人となりが見えないタイプが稀有だからだろう。
どうやら流石の修平でも参る方のようだし、私も深くは考えない方が得策よね…?
すると此方へズイっと顔を近づけた瞬間、レイバンのサングラスを取り去る大神さん。
「うーん、やっぱり“生”は良いね」
「・・・は…?」
ウンウンと納得したように頷いた彼の発言は、先ほどの密かな決心を一瞬で打ち砕く。
ジーッと一点を見据える黒い瞳が容赦なく突き刺さり、私の不安を駆り立てる中。
「修ちゃんがベタ惚れなのも納得だ」
「・・・え、と…」
「やっぱり、日本人ラブだねー」
それらを一蹴するように、あっけらかんと言葉を発する大神さんについていけない。
ニヤリと笑う様はスマイルキラーと酷似していても、“何か”が足りないのだ…。
「真帆が困ってるだろ…、早く行くぞ」
「おっと、修ちゃん妬いた…?」
「…大神も忙しいだろ?」
すると見計らったように助け船を出してくれた修平に、ホッとしたのは無理もない。
「お生憎さま、俺はいつでも暇を抱えて生きてんの。
仕事以上に余暇を楽しむのが、俺流スタイルだしねー」
「フッ…、よく言うよ」
大らかそうな発言をした大神さんは、やはり本社スタイル思考を持ち合わせていて。
「だから真帆ちゃん、“楽しむが勝ち”だよ?」
「はい…、お願いいたします」
初めてのアメリカ本土上陸だし不安はあるけれど、最後まで笑顔を貫きたいな…。

