何時でも私の知らないトコロで、ごく自然に何かを進める事が好きらしい修平だから。
「コレくらい贅沢しても許されるよ」
「もう…、ありがと」
彼といい松岡さんといい…、ソレに驚かされる側は毎回心臓が持たないのが本音でも。
「どういたしまして」
結局は彼らの笑顔に誤魔化されてしまうのだから、素直に受け取るが一番だもの…。
「本社って、シカゴのどの辺りにあるの?」
「うーん…シカゴ中心部にあるけど、案外工業地帯だな…」
「…詳しく聞いても、本土は初めてだし分からないんだけどね」
「ハハ…、楽しめるといいな?」
ビジネスとファーストクラス利用者専用のラウンジで、コーヒーを楽しむ私たち。
次々と飛び立って行く様々な飛行機を眺めながら、ゆったりした時間が流れていた。
「うーん、頑張る!」
「フッ…、真帆らしい」
向かい合う彼の顔色の悪さから、最近の過密スケジュールがらだと心配になるけれど。
弱音を吐かないタイプであるのはお互い様だから…、敢えて言葉には出来ない私。
「――よし、行こうか?」
「うん」
暫くして流れたアナウンスに従い、手を繋いでジャンボジェット機へと乗り込んだ。
ビジネスでも十分寛げるけれど、ファーストのシートは比較にならないほど広くて。
離陸した機内で徐々に出されていく、コース料理と少しのお酒で舌鼓を打ったあとは。
蓄積した日頃の疲れからか、修平と私は食後直ぐに眠りの世界へと旅立って行った…。

