ずっと気を張っていなければ打ち負けそう…、と内心では意固地になっていたから。
変わらない時間が与えてくれるモノは、ホッと心を宥めてくれるような気がするね…。
「本当にありがとうございました」
「あーあ、妹不在だと寂しいなぁ」
あれからスマイルキラーにいつもの如くナジられつつ、成田国際空港へ到着した車。
アレコレと思案する暇を与えてくれないから、到着までがヤケに早く感じてしまった。
「ソレは絵美さんに言ってやれ」
「ハハッ…、どうでしょうね――
じゃあ真帆ちゃん、コッチは無問題だから楽しんできな?」
私たちの荷物を下ろしてくれると、松岡さんは運転席へと乗り込んで話し掛けてくれて。
「ありがとう…、お兄ちゃん…?」
「ヤベ…、今の萌える!もう一回…」
「一回限りの特別サービスですもん、ムリです」
何時もは私が驚かされてばかりだから、彼の意表をつけた事で嬉しさを隠せない。
「えー、これでイケる――」
「ヘンタイ発言かますな…。真帆、行こうか?」
「悔しかったら、黒岩さんもどうです?」
スマイルキラーの名の如く、今日もまたニヤリと口角を上げた松岡さんだけれど。
「折角だけど、真帆は絶対に妹に出来ないから遠慮しとく」
「もう…っ、それじゃあ行って来ます!」
修平も松岡さんも何も言わないけれど、タクシーで来るより遥かにリラックス出来て。
出発のように手をヒラヒラと振って、見送ってくれる松岡さんに背を向けて歩き出した。
こんなさり気ない優しさに無償で触れられる私は、本当に恵まれているのだろう…。

