取り敢えずは目的の仕事だけに専念して、余計なコトは考えずに過ごしたいと思う。
本社への出張といえば、支社より選ばれし者だけに与えられた研鑽時間であるから…。
「んー、あとは…」
「真帆、もう大丈夫だよ」
アチコチへと忙しなく動き回る私を見ながら、苦笑して窘めてくる修平だけれど。
「もう少し待って、最終チェック!」
「ハイハイ」
大丈夫だと言われても、自分の目でしっかり確かめなければ気が済まない性分から。
キッチンからバスルーム、そして寝室等へともう一巡してチェックを再開する私。
いよいよ昼頃のフライトに合わせ、不在となるマンションの確認に追われていたのだ…。
「そろそろ気は済んだ?」
「…うん」
「フッ…、よし行こう」
大雑把な割には妙なトコロで心配性で気が抜けないから、ソレをいつも笑われてしまう。
「荷物はもう下だから」
大慌てで動いていた間に、どうやら彼はキャリーケースを運び終えてくれたようで。
「うん、ありがとう」
玄関でスタンバイさせていた、セルジオロッシのパンプスへ足を沈めながら苦笑した。
ベージュのサマージャケットを羽織った彼に導かれて、ついに部屋をあとにすれば。
「え、ええ!?」
「やっぱり、驚いただろ…?」
エントランス付近へ横付けされていた車に、彼の予想通りらしい反応を返してしまう…。

