失敗が当たり前のように続く、根気の必要な職種だからこそマイペースさが必要で。
何時でも“自分”を忘れないでいられる事は、簡単なようでいて案外難しいモノだ…。
「…にしても、ホント変わったなー」
「…何が?」
クックと笑いながらこちらを窺う剛史に、アイスコーヒーを飲みながら首を捻った私。
松岡さんへ電話で概況報告をすると、同行の岩田くんは品物を携えて先に帰社した。
すぐにでも戻りたいトコロを引き留められた私は、何故か元彼とカフェタイム中だ。
「そんな顔すんなって。まぁ、直球的なトコは変わんねぇし」
「だって仕事が気になるもん…、剛史もでしょ?」
昔を知られている…、もとい色々と知られている関係は気まずさを孕んでいるモノ。
それに剛史には悪いけれど、責務やフォロー云々を考えれば致し方無いもの…。
「あーあ…久々の再会なのに仕事って…、ホント冷てぇ」
「…フフッ、確かに。時間と余裕がある時なら良かったのにね。
…でも、何か話があるんでしょう?」
とはいえ、ハッキリ言えるのも気の置けない人というオカシな矛盾に笑ってしまう。
ストローでグラスの液体をカラカラとかき混ぜれば、氷同士のぶつかる音が心地良い。
「おっ、勘の鋭さもご健在のようで?」
「もー、はぐらかさないでよ!」
ズバリ核心に迫ってみれば、昔と変わらない表情で茶化されて頬を膨らませていれば。
「ハハッ、その口グセも変わってねー。
…でも、幸せそうで良かったよ」
私の表情を見ながら、一層の事柔らかく笑った剛史のあるモノに目が止まった・・・

