答えかねている間にも、私を置き去りに話を進める自由人な彼らに溜め息をつく。
「真帆はね、学部のマドンナだった訳。だから俺は簡単にフラれてさー」
「ち、ちが…」
「つーか、泣かされた男も数知れずいたし、付き合えただけラッキーとか?」
剛史のお喋り加減を目の当たりにすると、やはり変わっていないと思うと同時に。
自分勝手に相手を傷つけた過去の私を、傷つけてしまった人が笑ってくれて安堵した。
「あー、なるほどー。確かに男心を擽るのが上手いですよねぇ、吉川さんって」
「ちょっと岩田くん、何よソレ…!」
…だというのに。トラブルプリンスくんは、剛史の言葉を真に受けて頷く始末だ。
その前に“男心を擽る”ってね…、私が仕事中に何をしたって言いたいのよ…?
「…にしても、意外なトコには気づくんだな」
茶化していた本人ですら私を一瞥すると、苦笑しながらプリンスくんを皮肉るほどで。
「どういう意味ですか?」
「大衆紙の記者とか、向いてんじゃね?」
提案めいた剛史の発言には、プリンスくんには悪いけれど思わず頷きそうになる。
「いやー、文章力無いので絶対ムリですよ」
「あぁ…、そうかも、な?」
「うん、私もそう思うよ…」
何より問題な点は、プリンス自身がトラブル・メーカーと気づいてない所でしょう…?

