ソレは今となっては“仕事は仕事”のスタンスはお互い様だし、まして相手は顧客先。
「あの…、2人はお知り合いですか?」
とはいえ、ババッと切り替えた私たちの態度に目を見張る岩田くんに笑いが込み上げた。
「ハハハッ――、やっぱり岩田くんは知らなかったのか!
俺と吉川…あーもうメンドイから真帆はね、大学のゼミで一緒だったワケ」
「…敢えて言う必要も無いでしょ?
大体ね、今日はイレギュラーな事態だったもの」
佐々木…もとい剛史は豪快に笑ったあと、横目でこちらを一瞥して窺って来る。
担当者が彼と勿論分かっていたけれど、本当に言う必要も機会も無かっただけなのだ。
因みに今回再会を果たしたのは、部に異動した頃以来で約3年ぶりとなるしね…。
「ホントかよ?真帆って、いつも意外なトコで抜けてるもんな」
「よく言うわよ…」
何となく仕事モードが解けると、ククッと笑う剛史に気恥ずかしさを感じてしまう。
「あのー、…お2人って恋人同士だったんですか?」
「・・・え」
対処に困りかねていると、不意に隣から被せられた問い掛けが私をフリーズさせた。
「おっ、鋭いじゃん!真帆の遥か昔のオトコだよ」
「ちょ…!」
「やっぱりそうですかぁ、何となくそんな気がして…」
剛史の面白半分な返答に納得しながら頷くと、今度は2人して視線を向けて来る。
私は呆れつつもプリンスくんは、“トラブル”を自ら起こす性質なのだと納得したの…。

