エリートな貴方との軌跡



ソレこそ言ってしまえば、修平もスマイルキラーと似たような節があるのだけれど。



やはり頭の回転が速すぎて、一般的な私はイマイチ掴めないから困るのよね・・・



「バランス良く、とは…?」


「つまりは、真帆ちゃんに期待してるってコト」


「すみません…、意味がよく…」


私が尋ねてみればコレだ…、絶対に求める答えの20%程度で返してくる松岡さん。



たとえ彼らと同じ理系出身者だろうが、言わずもがなデキが違いすぎて無理があるのよ。



「うん、ソレでこそ真帆ちゃんだから」


「…はい、案にバカって言いたいんですね」


「いやいや、バカに試作開発は勤まんないから。

ついでに修ちゃんのお相手なんて、もっと務まんない」


「…そこで彼を、譬えに出さないで下さい」


素直に白旗を振って苦笑する私を余所に、此処でも飄々とコーヒーを楽しんでいる彼。



直球勝負を挑んでもこの通りにあしらわれるのだから、私の立つ瀬は何処ですか…?



「因みに今回の案件について、何て言ってた?」


「え…、松岡さんから伺うようにと…」


すると彼はマグカップをテーブルに音を立て置き、不意に本題について尋ねて来て。



「まぁね、お察しの通りに“行けない”事も無いんだけど。

だからこそ、今回はなおさら真帆ちゃんが行くべきってワケ?」


「ですが、私で…」


「んー、黒岩さんをしっかりサポート出来る人じゃないと務まんないの」


腑に落ちないでいる私の言葉を遮ると、ニッコリ満足げに笑う松岡さんは厄介すぎる。