この飄々とした彼の態度からは、何年経とうが全く考えが読み取れないのだけれど。
言える事があるとすれば、スマイルキラーはピンチを察して直ぐ動く人だもの・・・
「えー、大事な妹に隠しゴト?」
クスクス笑って頬杖をつきながら眺める様は、既に意味を分かっているというのに。、
「…それなら言わせて貰いますと、今まででしたら松岡さんが主担当でしたのに。
今回は突然…何故に本社の案件を、私メインで担当する運びとなったのでしょうか?
それも現地へ赴いてまでの重要な案件となれば、なおさら不思議で仕方ありません。
…部長から要件を伺って感謝しておりますが…、腑に落ちない部分もあって…」
待っていても彼は話さないとなれば…、寧ろ此方から話題を振れというサインで。
オブラートに包まず直球を投げ掛けるのは、時間をムダにしない部内の風潮でもある。
すっかり試作部に染まっている私も例に漏れず、質問は的確・速攻がモットーなのだ。
「真帆ちゃんしかイナイから」
「え…?」
一気に捲し立ててみれば、あっけらかんと答えを返すスマイルキラーに目を丸くした。
「でさ、結婚後も仕事は続けるつもりだろ?」
「え、えぇ…、以前お伝えした通り、今後も変わらず続けたいと思っています」
突然の問い掛けに驚きつつも、曲げたくない自身の意見を頷きつつ述べる私。
「それなら、需要と供給には答えるべきで…」
「え、と…?」
「但し、メトロノームのようにバランス良くね?」
頭の出来が違いすぎる松岡さんの発言は、何時でも飛躍しすぎて首を捻りたくなる。

