「・・・・あの」

「は?」 「え?」




土方さんの後ろから鈴の鳴るような澄んだ声がして、土方さんが振り返る。
黒くて綺麗な髪をひとつにまとめて、淡い鶯色の着物を着た、私とそう変わらないであろう年頃の女の子がいた。




「もしかして、新撰組の土方歳三さんですか?」
「・・・・・・」 「えっ・・・・」




そんな女の子が、目を輝かせながら土方さんを見る。私は思わず目を丸くしてその子を見つめた。土方さんは眉間に皺を寄せたままその子を見ていた。

















なんだろう。何故か、そのとき、少しだけ何かが動き出した気がした。
何か、なんて、そんなことわからないけど、



何かが、確実に音を立てながら、静かに動き出した。