「葉月ちゃん、お疲れ様!」

「あっ!お梅さん、お疲れ様でした」



夜も更けて、もう少しで初日の出という頃、大広間で飲んでいた最後の一人がようやく落ちた。



大広間には、落ちた大勢の隊員たちが雑魚寝をしていたり、テーブルの上には空のお酒の瓶やお皿が散乱していた。




後片付けをしようとした葉月を見とめたお梅は「片付けはいいから、葉月ちゃんはもう部屋に戻って」と笑いかけた。



「ありがとうございます」

お礼を言って、片付けは任せて大広間を出ようとした時、「あっ!」と葉月は声を上げた。



「葉月ちゃん?」

「あの、お梅さん…」




ためらいがちに口を濁らせる葉月をお梅が促すように、片付けていた手を休める。



「初詣っていつ行けばいいんでしょうか?」

「えっ…?あーっ、そう言えばそうね」


「私たちは別に行かなくてもいいけど、葉月ちゃんは行きたい?」と尋ねるお梅に葉月は「えっと…できれば」と遠慮がちに答えた。


「そうね、明日っていうか、今日はどの隊も巡察があるから連れていってもらうわけにはいかないし。でも一人で行かせるわけにはいかないもんね」



「…………?」



その言葉に、葉月がわからないと言うように首をかしげると、お梅さんは「こっちの話」と言って意味深に笑った。



「そうね…葉月ちゃんは2日でも大丈夫?」

「はい、いいですよ」



特に人の多いだろう元旦に行きたいとは思わないけど…



葉月が頷くと、お梅は「わかったわ」と言って、「2日、誰かに連れていってもらえるように頼んどくから」と優しく笑った。



「本当ですか!ありがとうございます!!」


やったーっ!

初詣に行くの楽しみだなぁ





浮かれていた葉月は気づかなかった。


喜ぶ葉月を見て、企むように笑うお梅を――…