「・・・まさか」
「・・・・間に合わなかったみたいですね」
京のはずれまで歩いてきたところで土方が足を止めた。
現場はすぐそこだということはわかった。
人間の血独特の匂いが、辺りには充満していた。
きっと、ここからさほど遠くはない場所で、既に辻斬りは終えられたのだろう。
「行ってみます?」
「・・・ほっとくわけにはいかねぇだろ」
“人斬り集団”といわれる新選組で、どれだけの人を斬り殺してきたか、もう覚えていない。
それでも、むせ返るような血の匂いの漂う場所で、死体を見るのは気分がいいものではない。
けれど、新選組は京の治安を正すためにある組織であり、死体を放置するわけにもいかなかった。

