三番組の人たちが私と真之介と呼ばれた男の子に礼を言いながら隊服を渡し、屯所に入っていく。


「・・・・」

「じ、じゃあ、井戸の近くまで運んでもらってもいいかな?」




「・・・あんたさ、俺のことガキだと思ってるだろ」


「・・・え?」


耳を疑った。さっきまで斎藤さんに明るく返事をしていた声と同じ声が、先刻より幾分も低いトーンになっていた。


「斎藤組長からの命令じゃなかったら即刻断れたのに」

「あ、あの・・?」


下を向いていた彼が顔を上げる。大きな目に力を込めて私を睨んでいる。


「だぁかぁらっ!面倒なんだって!」

「!?」

「今から道場いってチカ兄に稽古付けてもらおうと思ってたんだよ!なのにあんたの手伝いでできなくなっちまったじゃねえか!!」

一気にまくし立てられ目を見開く。

私は勢いに負けそうになりながらもどうにか言葉を繋ぐ。


「チカ、にぃ・・・?」

「幸親さんのことだよ!」

「幸親くん・・?」

「あんた知ってんのか?」

頷けばチッと舌打ちされた。



・・・なんで?!




「いっ・・!行きたくないなら私一人で・・・」

「斎藤組長の命令は絶対!!」

「はっ、はい・・・?」

「行くぞ!」


怒ったような彼に戸惑いながらもドスドスと響く足音に急いでついていった。