1番目のバンド、2番目のバンドと、どんどん俺達の順番が近付くにつれて、俺の緊張は物凄いことになっていた。

「ね、ねえカイジ、俺の心臓、ほら、まじありえねー」


カイジの手をとり俺の胸に当てた。

自分でも聞こえるんだ、自分の心臓の音が。


「うわー。気持ち悪いぐらい激しいじゃねえか。緊張移すなよオレ達に」

「えっ、緊張してないの、ああありえない…」


皆凄すぎるでしょう。

あれだけの人がいるんです、見た瞬間アウトじゃないですか。


「緊張しない奴なんて居ない。その緊張をどう演奏に転換するのかが重要なんだよ。」

そう言いやってきたのは大王だった。

なんですか、俺を過呼吸にしたいんですか。


「まず、手を開きます。そして、もう片方の手の人差し指で、掌に「人」という字を書いて、ぱくっと飲みこみます。ほおら素敵!緊張しなくなるでしゅよー♪」

「…それ、おちょくってません?」

「まさか。…それより聞いたか、俺今さっき知っちゃったんだけど、このフェス、優勝バンドはもう決まっているらしい。」


「「「「はっ?!?!」」」」