ちょろっと話を聞いていると、中2のときからずっと今まで付き合っているらしい。
彼女の名前は「なつこ」ちゃん。違う高校だそうだ。
なつこちゃんのことを話しているシュートは本当に彼女のことを思っていて、さすがだなと思ってしまった。
うらやましい。
あ、本音が出ちまった。
結局は、この授業中はシュートの浮かれた恋バナで満開だった。
女子たちも楽しそうに聞いていた。
俺、好きな人って、しばらく居ないかもしれない。
「やべーな」
「何、ヤマト。どうかした?」
移動教室の帰り道、鮎川がそんなことを言ったけれど、別にどうでもよかった。
俺は音楽にセイシュンを捧げるんだ。
なんてことを思っていた。



