演奏?
まだ合わせたこともないのに、いきなりおっちゃんの前で演奏?
翌日朝、俺達は学校に行く前に、鮎川の家へ集まった。
本気でやばい。これは。
「朝から周りの家に迷惑じゃない?演奏してさ」
「でも…今日だぞ、オーナーに演奏をみせんの。仕方ねえじゃん。母親にも事情説明したし、大丈夫!」
とりあえず、1人ずつ、自分のパートを演奏した。
数日前に歌詞と大雑把なメロディとギターコードだけを書いた曲を渡しただけだって言うのに、みんなちゃんとそれに合わせて弾いてる…
さすがだな、やっぱり。
問題は、俺だった。
もちろん、歌えることは歌えるのだが、手と口が一緒に動かない。
つまり、ギターが全然弾けていないのだ。
「ヤマトー。こんなんじゃ、オーナーに聴かせるほどの演奏出来ないって」
「…ゴメン。まだ慣れてなくて」
「時間ねーんだぞ」
鮎川はずっとギター練習してきたからいいよ、俺なんてまだギター始めて1カ月ちょっとだぞ。
「文句なんて言ってる暇はないだろうが」
ズバッとカイジにきつい一言を言われて、気づくと時計は8時10分を過ぎていた。
やべ、こっから学校まで自転車で何分?
「軽く20分はかかる…」
案の定、遅刻指導を4人仲良く受けたのでした。



