「こんにちはー。もうユカちゃん居ますかー」
「あ、DASHの鮎川くんだ。馬渡さんはまだだねー。今日は17時からだよ」
受付に居たスタッフの人が答えてくれた。
「あと1時間かー。待ってます、な、ヤマト」
「あ、ああ」
1時間待つなら帰って地下室で練習しようぜ
そう言いたかったが、実を言うと俺もちょっと会いたかった。彼女に。
好きというか、いや、人間としては好きなんだけど、いや、それ以上にも好きなのか?
…よくわからねー。
そんな彼女に会いたいと思ったのは、またいつも通りのなれなれしい会話と、満面の笑みを見たかったからだ。
この前のことは、間違いだった、そんな風に思いたかったからだ。
…なのに。
「コンニチワー。あ、」
「あ。」
「ユカちゃん!5時からなのになんで?!」
会ってしまった。
益々なにかが溢れてしまった。
壊れた。俺の心。
もし、ユカがいつも通りに「見て!太郎さまのCD買ったの!」なんて言ってくれると「ちぇ、俺って恋多き男だぜ」と納得出来たのに。
顔が真っ赤なのは何、俺のことが好き?



