でも確かに、終わってみると以外に引きずってない。
いや、引きずる時期が終わったのか?
「では、曲を聴いてみましょう」
先生がCDをかけて、目を閉じた。長いまつげをのぞかせる。
クラシックに歌詞が付いたようなその曲は、俺には全く気持ちがわからなかった。歌の気持ちが。
きっと、俺は王子みたいにそんなに強くないからなんだと思うけど、もっと、俺は素直に作っちゃうなあ。
「それでは、みなさん紙に感想を書いてください」
マコ先生はそういうと、音楽準備室へと入って行った。
その瞬間、みんなは中学生のように左右前後の席の奴らと話を始める。
きっとマコ先生の今日のなんとも大胆な洋服の件なんだろう。
どさくさにまぎれてか、前の席の鮎川が俺の方を向く。
「曲さ、どんな歌詞だったっけ」
曲、とは、多分俺が作ったライブで演奏予定の3曲だろう。
まだ確定はしていないが、このままいくと俺の曲3つともがライブで演奏されることとなる。
俺が作った1曲目は、ユカに見せたあの失恋ソング。
2曲目は、ただ単に日記のように日々を書いたものだ。
そして3曲目はDASHを書いた。



