車に乗った先生は、学校を出てから5分後くらいに あたしに住所を聞いてきた。 「わりぃ…家どこ?すっかり自分の家に帰るところだったわ!」 先生は、笑いながらこっちを見た。 「…えっ?遅いよ!先生〜!」 「わりぃわりぃ!じゃあ案内して!俺、方向音痴だから住所言われても分かんねぇし。」 「はぁーい。」 初めて先生とこんなに話した嬉しさから、ずっと続けばいいと思った。 少しでも長く、一緒に居たい。 その思いから、わざと遠い道を教えた。