「何を話しているんだ?」 王子はボクに訊ねる。 ボクは、淡然と 「初歩的な挨拶ですよ」 と言ってほくそ笑んだ。 「…さぁ、外は寒かったでしょう。どうぞこちらへ。お食事はいかが?」 この場を取り持つように 姫は明るい笑顔で言う。 そして自然な手つきで王子の手を取った。 王子は、誰が見ても分かるように その表情を輝かせていた。 ボクの胸はなぜかちくりと傷む。 どうしてかは分からなかったけれど.. ボクはすぐに王子の後にお供した。