それは蝉がまだうるさく鳴いていた夏休みのことだった。 高校3年生の吉川あずさは一人で駅のホームのベンチに座って電車を待っていた。 あずさは今年受験生で、この夏休み中は毎日塾に通い詰めていた。 今日の塾の授業は午後からなのだが、同じ高校の友達の井上結子と午前中から自習室で勉強をする約束をしていた。 時刻は10時。 あまり人気の無いホームのベンチであずさは一人,ぼーっと前の景色を眺めていた。