君を愛す ただ君を……

「大空君?」

「あ?」

俺が顔をあげると、テーブルの横に立っている女性に目を向けた

俺の知っている顔より、少し大人びていて…化粧もしている同級生が俺を見ていた

「詩織」

「大空君…バスケ、続けてるの?」

俺の椅子の隣に置いてあるスポーツバックを見て、驚いた眼で聞いてきた

「ああ。続けてる」

「佐山、知り合い?」

佐久間が、不思議そうな顔をして口を開いた

「あ、ああ。青島 詩織…高校んときのぉ……」

俺は言葉に詰まって詩織を見つめた

詩織はにこっと笑うと、佐久間に手を出した

「青島です。大空君と高3のときにクラスメートだったんです。でも卒業直前に私が、引っ越しちゃって…」

「私は佐久間です。大学のバスケのマネをやってます」

佐久間は立ち上がると、詩織を握手をした

「詩織、ここら辺に住んでんの?」

「ううん。就職セミナーでこっちに来ただけ」

「そっか」

「大空君は?」

「あ? 俺はすぐ近くのアパートで一人暮らしをしてるよ。バスケの練習、きついからさ。近くに住んでないと、やっていけないよ」

俺の言葉に詩織がぎこちない笑みを送った

「膝…平気?」

「ああ。もう全然、平気。痛みもないし、バスケも楽しく続けてるよ」

詩織がほっとしたように息をついた