君を愛す ただ君を……

佐久間と一緒にファミレスに入った

佐久間と、こういう店に入ったのは初めてかもしれないなあ

佐久間とはバスケの練習の帰り道に、一緒に酒を飲むって感じで…しかも二人きりっていうのが滅多にないしなあ

まあ、付き合ってるわけじゃねえし

じゃあ、なんで身体の関係があるんだっつう話だけどさ

やっぱ佐久間、辛いじゃん

嫌いになってライと別れたわけじゃねえし

別れたのに、近くにライがいるって心がきっとつらいと思うんだよなあ

酒を飲んで、落ち込んでいる佐久間を見ていたら…つい、て感じで

俺は別に佐久間と付き合ってもいいって思ってる

だけど佐久間はやっぱライがいいんだろうなあ

だいたい佐久間は、俺を男と見てないだろ

俺に対する扱いが粗雑だしな

ライの前にいるときと、俺の前にいるときと、全然、雰囲気が違うんだもんなあ

俺も悲しくなっちゃうよなあ

「佐山って、お姉さんが三人もいるんだ?」

佐久間が、ストローでウーロン茶をくるくるとかき混ぜながら聞いてきた

「あ、ああ。どの姉貴も我が強くて…面倒だよ」

俺が苦笑する

「もしかして…腕組んで歩いたりする?」

「あ…まあ。三番目の姉貴がそう言えば、よくすり寄ってくるなあ。彼氏がいないからって、俺に彼氏のふりをしろとか言って、大学の友人に紹介したり…て、なんで?」

「べ…別に」

佐久間が顔を赤くして、ぷいって横を向いた

「俺が女と腕を組んでるところでも目撃した?」

俺が質問をすると、佐久間が俺の足を蹴った

「だから…左足はやめろって言っただろ!」

「あ…ごめっ」

俺は左の膝に入った痛みに、顔をゆがめた