君を愛す ただ君を……

「あの…佐山、ごめん」

練習が終わって、部室に帰る途中に、佐久間に肩を掴まれた

俺は足を止めると、佐久間に振りかえる

「何が?」

「だって…私……」

俺は口を緩めて微笑むと、佐久間の頭をポンポンと叩いた

「何に対して謝ってるか…よくわかねえんけど。佐久間が謝らなくていいよ。俺、怒ってねえし」

佐久間がむすっとした顔をすると、脛に蹴りを入れた

「おぅ…」

「人が謝ったんだから、素直にウンって頷きなさいよっ」

「なんつう…理由だよっ…てか、いてえよ」

俺は蹴られた脛をおさえるとその場に蹲った

俺のまわりには、こういう強い女しかいねえのかよっ

「頼むから左足にはするなよ」

俺は佐久間に手を出すと拝むように言った

「え? 左足?」

「今日は、古傷が痛むから…ちょっと刺激的な行為は無理っ。佐久間の刺激的な格好なら大いに受け入れちゃうんだけど…」

俺は、ばこーんっと佐久間に頭を叩かれた

「馬鹿じゃないの?」

佐久間が俺を睨むと、スタスタと歩いて行ってしまった

ごめんな、佐久間

俺、女のしおらしい態度には弱いなんだよな

泣きそうな顔っていうかさ

申し訳なさそうな顔をされると、どうしていいかわからねえんだよ