君を愛す ただ君を……

「おとうと?」

横から女の声がして、俺とライが斜め上に視線をやった

そこには赤と白のジャージを着ている佐久間が驚いた顔をして立っていた

「佐久間か。こいつ、上に三人の姉がいてさ」

「ライ、やめろって」

格好悪りぃじゃんかよっ

「いいじゃん。隠すことないだろ。姉貴にコキ扱われてるんだよ」

俺は喉を鳴らすと、佐久間から視線を逸らした

「今日の電話って…もしかして…」

「え? 『今日の電話』?」

佐久間の言葉に、ライが不思議そうな顔をして、俺と佐久間を交互に見つめた

佐久間の顔が一気に顔を赤くした

…んだよ

ライの前だと、女らしく振る舞うよなあ…ってまだ、ライのことが好きなんだろうけど

「あ? な、何?」

俺はあえて聞いてないふりをした

「…もしかして、今朝、俺に電話してくれた? ごめんな。俺、一番上の姉貴に呼び出しの電話があったからさ」

こんな感じで言えば、佐久間が俺と一緒にいたとはライは思わないだろ

「おかけで貧乏まっしぐらだな。ほんとうに夕飯いいのか? 今なら、電話すれば、どうにかなると思うけど?」

ライが俺の肩に手を置いてきた

「気にすんなって。貧乏にゃ…貧乏なりの暮らしがあんだよ」

俺が白い歯を見せて笑うと、ライが「なんだそりゃ」と首を傾げた