君を愛す ただ君を……

俺がくくっと笑うと、佐山が俺の後頭部を拳でぐっと押した

「ライ、ほんとに良い顔してるよ。柔らかくなったなあ。あの子のおかげだな。永田さん…だっけ? 駅で会うなり、ブチューだもんなあ。あれには驚いた」

「は?」

俺は佐山の顔を見た

「駅で待ち合わせしてただろ? 彼女と。俺ら、あの日、おやっさんとこに飲みに行こうとしてたんだ。そこでお前が、いきなり彼女にキスをすんのを見ちゃってさぁ。びびった。佐久間なんか、あの後やけ酒だよ。もうひでぇ泥酔状態で大変だったんだから」

佐山が楽しそうに語っている

俺はデートを見られていたのかと思うと、恥ずかしくなった

ほんの短いデート

欲望と葛藤し続けるデートだけど、やっぱり凛と会えるのは嬉しい

メールだけじゃ物足りない

凛の表情や凛の香り…凛の温もりが欲しい

感じたいよ

「またぁ…顔がニヤけてるぞ。たくっ、お前の顔の筋肉は随分、柔らかくなっちまったな」

佐山が俺の頬を抓った

「いてーよっ」

「寂しくねえだろ…今。彼女がいても、苦しくねえだろ?」

佐山がニヤッと笑った

「苦しいよ」

俺は、胸に手をあてた

「違うよ。会えない苦しさ…そういうんじゃなくて。孤独感だよ。ずっとお前、抱えてただろ? 女がいても、どこか独りって気がしてたんじゃねえの? そういうのが無くなっただろっつうの」

「確かに。それは無くなったなあ…てか、考える暇がねえ」

俺と佐山が目を合わせると、失笑した

「…馬鹿だよなぁ…男ってさ」

「佐山だって男だろ」

「だから、俺もバカなんだよ」

後輩たちが驚くくらい、俺らは長時間『バカ』という言葉に反応してた大笑いを繰り返した